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トヨタの問題解決手法は事実基点のロジカルアプローチ

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トヨタ流の問題解決とは

事実を元に裏付ける方法と論理をつくる2つのアプローチが問題解決力を高める

問題解決のアプローチには、様々なスタイル・手法がありますが、トヨタ流の問題解決の特徴は、すべてが事実基点というものです。
机上でいろいろと考えるのではなく、自工程(自職場)の事実を見て、認識し、事実から考えて行動し問題解決するというもので、論理と事実を組み合わせるロジカルアプローチです。
仮説を事実で裏付ける方法では、原因究明力と改善策立案力を高めます。
事実をもとに論理をつくる方法では、今まで認知できていなかった論理・原因を導き出すことができ、革新的な解決策を引き出すことができます。

 <目次>
現地現物の事実基点で解決力の質的向上
論理と事実を組み合わせるロジカルアプローチ
①仮説を事実で裏付ける方法
②事実をもとに論理をつくる方法

現地現物の事実基点考動で解決力の質的向上

トヨタ生産方式の原理・原則の一つに三現主義と言われるものがあり、すべてのことは実際に起きた事実に基づいて考え行動しなければならないとするものです。三現とは「現地・現物・現実」のことを言い、事実を見て考えるときの行動原則です。
現地とは、「事」の起きているその場に行くこと。
現物とは、「事」を引き起こしているモノを見ること。
現実とは、起きている「事」の事実を確認すること。
というもので、すべては、実際に起きている事実に基づいて考えて行動することを是とするものです。
問題解決の落とし穴に「不安を問題と思ってしまう」「机上論」などがありますが、これら落とし穴は、事実を見ていないことが根底にあります。三現主義を取り入れて、事実基点考動での問題解決、つまり、事実を見て、認識し、事実から考えて行動し問題解決すれば、これら落とし穴に陥ることはありません。
問題を認識し、特定するときは、
①問題がどこで発生しているのか、
②何が問題となっているのか、
③問題とされているもの正体は何であるか

というように整理することで、事実に基づいて問題を特定することができ、問題が見えないということを防いでくれます。

問題解決の事実基点のお店の事例

例えば、飲食店を4店舗展開している会社があります。中華料理店の売り上げだけが他店舗より低いので、この問題を解決するための取り組みをしました。客回転数を分析してみると売り上げ同様、他の店舗より低い値です。つまり、お客さんが入っていないことになります。そこで、広告や新メニューの追加によって客数を増やすことを考えています。しかし、現地現物で店舗に出向いて、実際の状況を見たところ、店の前には順番待ちのお客さんが列をつくって待っていました。お客さんは来ているのです。安くて美味しい評判の店となっていました。では、なぜ、売り上げが低いのか、現地現物で店の中を見て分析していくと、空いている席が目立ちます。満席率を調べてみたところ、他店舗より極端に低いことがわかりました。つまり、ホール管理のまずさからお客さんをうまく案内できていなかったのです。問題は、ホール管理のまずさによる満席率の低さです。満席率は現地に赴いて調べないとわからない指標です。客回転率のデータから分析できていると思い込んで広告や新メニューの追加はムダな対策だったのです。
問題は、必ず、現地現物現実で見て、正しく認識してから、対策をしていきましょう。
課題の場合は、問題とはやり方が異なります。課題は、問題と違い、まだ事実がありません。これから実現しようとすることを阻むモノが課題ですので、現地、現物、現実で捉えることができないのです。
では、課題における事実基点考動とは、どのようなものでしょうか。
重要なのは「事実」です。「想定」では事実基点考動になりません。事実基点考動とするためには、「事実」をつくることです。
課題を認識し、特定するためには、課題を「事実化」する取り組みをします。
課題が「真の課題」であるためには、本当にめざすモノを実現することを阻んでいることを証明しなければなりません。実験や試行を繰り返し、課題が阻んでいることを事実として捉えること、これが課題における事実基点考動です。
問題解決にTPS(トヨタ生産方式)スタイルの事実基点考動の行動原則を取り入れることで、解決力が質的に高まり、ムダのない解決ができるようになります。

トヨタ流の問題解決の基本ステップは、問題解決の基本ステップと同じです。ただ、すべてにおいて、現地現物の考え方が徹底しています。
問題解決の基本ステップについてはこちらをご覧ください。↓


 

論理と事実を組み合わせるロジカルアプローチ

問題解決では、ロジカンルシンキングと言われるように、仮説を論理的推論していくことが重視されます。主観や経験に頼った問題解決は、思い込みや経験による偏りなどがあり、解決力が高まりません。
問題解決における論理的推論は、原因と結果の関連性に筋が通った整理をすることです。誰が聞いても仮説の原因と結果の関連性が納得できるものが論理的と言われますが、ここに落とし穴があります。皆が納得し論理的であるというものが、必ずしも事実ではないということです。都市伝説と言われるものが多くの人に「間違った論理の仮説」を「正しい論理の仮説」と思い込ませています。

事実と言えない事例

例えば、生産管理の都市伝説に、「欠品しないためには在庫を多く保有する」というものがあります。欠品とは、注文があったときに在庫がなくて出荷できないことを言います。在庫がなくて出荷できないのだから、在庫を多く持っておけば、欠品にならないというのは、一見筋が通っています。論理的と思わせます。
しかし、トヨタ生産方式では、「在庫が多いと欠品する」という考え方をします。真逆の考え方です。「在庫がなくて出荷できないのに、在庫を少なくしたら、ますます欠品するじゃいか」という声が聞こえてきます。説明を聞いただけでは、多くの人が論理的であると思えないと言います。ところが、実際の現場では、在庫が多い会社ほど欠品率が高く、在庫を少なくした会社ほど欠品が少なくなります。

納得できる事例

詳しい説明は、割愛しますが、欠品が起きる原因は、売れるスピードと作るスピードの差が大きいことにあります。売れるスピードより、つくるスピードが速いと製品が売れるよりも速く積み上がるので在庫となります。逆につくるスピードよりも売れるスピードが速いと欠品となります。在庫が多い会社は、売れるスピードとつくるスピードの差が大きい会社で、両方のスピードをうまくコントロールできていないのです。在庫の少ない会社は、両方のスピードをうまくコントロールできる会社ですから、在庫も少なく、欠品も少ないのです。
このように、論理的であるか否かは、それを判断する人の知識や経験、または常識などのよって大きく左右され、誤解されることすらあるのです。都市伝説のような論理的推論の仮説では、当然のごとく問題は解決できません。また、間違った論理展開となっていることに最後まで気づくことができない怖さもあります。
では、論理的であるとはどういうことでしょうか。それは、仮説と事実が一致したものが論理的と言えます。つまり、論理的とは「より真実に近い」ということに他なりません。
仮説と事実を一致させるときに気をつけることは、仮説にとって都合のいい事実だけを集めたり、仮説と整合しない事実を無視しては、真実をねじ曲げないようにすることです。事実を色眼鏡なく平常心で受け止めることが大切です。
論理と事実を一致させて問題解決をはかる取り組みを私たちはロジカルアプローチと言っております。

ロジカルアプローチの2通りの方法

論理と事実を一致させるには、二通りの方法があります。

①仮説を事実で裏付ける方法

1つ目は、机上で行った論理的推論に対して、事実で裏付けを取っていく方法です。問題解決では、原因究明と改善策立案の段階で役に立ちます。
原因究明では、推定された原因について、実験や試行を行い、データによって真の原因であることを証明します。証明できたモノは、真の原因となりますし、証明できなければ、その事実を持って推定方法を見直して、新たな原因を探すことを繰り返していきます。原因分析では、必ずデータや事象で裏付けのとれた原因だけを扱うようにすることで、問題解決力が飛躍的に高まります。
改善策立案では、立案した改善策を実験や試行で行ってみて、その有効性・効果性を確認し、改善策の立案考え方や方法を見直し、改善策の立案力を高めます。

②事実をもとに論理をつくる方法

 2つ目は、事実をもとに論理をつくる方法です。古くは、ハインリッヒの法則といわれる労働災害の経験則があります。経験則は、論理まで展開されていない場合がありますが、事実として多くの人が認めている法則となっています。昨今は、BigDataとか、ディープラーニングと言われるアプローチの重要性を叫ばれていますが、これらは、いずれも事実=データを分析したり、構造化していく中から、今まで認知されていなかった論理を導き出す方法です。今後のAI(人工知能)は、ディープラーラングが主流となるとも言われています。
 原因究明では、事実データや実験データをもとに主成分分析や回帰分析などによって、データ間の関係性における法則や結果に対する影響度合いを見いだす方法です。
 改善策の立案では、実験計画法などを使って、実験データの裏付けある有効な改善方法を見つけ出す方法です。
 実際の利用場面では、論理を事実で裏付ける方法と事実から論理を導き出す方法の両方を組み合わせて行います。

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