fbpx

Blog

RCA:根本原因分析のためのツールと事例

RCA(Root cause analysis):根本原因分析イメージ

なぜなぜをロジカルに掘り下げ、裏付けをとる手法・ツールの紹介

問題や課題解決の精度とスビートを高めるためには、問題を発生させている根本的な原因を明らかにし、その原因に対する対策をしなければなりません。問題の原因を洗い出し、根本原因を突き止める手法やツールは数多く研究され、紹介されています。根本原因分析(RCA:Root cause analysis)の基本は、なぜなぜを繰り返す分析アプローチです。「なぜ、発生したのか」「なぜ、流出したのか」と原因を掘り下げていくものです。ここでは、なぜなぜをロジカルに掘り下げ、裏付けをとる、RCA(Root cause analysis):根本原因分析に役立つ手法・ツールを紹介します。

 <目次>
・系統的(ロジックツリー)に原因を掘り下げるRCAに役立つ手法・ツール
・因果関係から原因を掘り下げるRCAに役立つ手法・ツール
・相関関係から原因を掘り下げるRCAに役立つ手法・ツール
・統計的相関関係から原因を掘り下げるRCAに役立つ手法・ツール

原因分析の動画学習>7日間無料
QC手法の動画学習イメージ

動画で学ぶ
原因分析の仕方とツールの使い方

原因分析手法とツールの使い方・コツを解説
事例で原因分析手法の使い方を説明
ガイド・テンプレートもダウンロード可
300以上の学習動画が定額見放題
もっと見る


系統的(ロジックツリー)に原因を掘り下げるRCAに役立つ手法・ツール

原因系統洗い出しシート(ロジックツリーシート)

問題解決の基本は、原因に対する対策です。原因の探求が不十分な場合、対策も不十分となり、問題が解決できません。
表層的な原因でなく、本質的な真因をあぶりだし、対策することで根治的対策ができ、効果ある問題解決ができます。
原因分析では、真因に近づくアプローチで原因を探求することが大切です。原因系統洗い出しシート(ロジックツリーシート)は、原因を階層的に垂直方向に掘り下げて真因を見つけ出すためのツールです。

ロジックツリーシートの事例


手法・ツールの特徴

原因を系統(ツリー)立てて洗い出すことによって
・分析者の主観や経験によって原因の洗い出しが偏ることを防ぐことができます。
・原因の垂直の深掘りによって真因を突き止めることができます。
・原因が具体化され、対策案が立案しやすくなります。

手法・ツールの使い方と事例

①問題に対する一次原因を洗い出す

問題の発生及び流出を引き起こしている直接の原因=一次原因を考え、問題の下に配置して線で結びます。
「○○によって、××の問題が発生する(流出する)」というような文章にしたとき、違和感なく読めるのであれば、「○○」の部分が一次原因となります。
文章にしたとき、「○○によって、△△となって、××の問題が発生する(流出する)」というように、間に「△△となって」が入らないと説明が成り立たない場合は、問題を直接引き起こしている一次原因ではありません。それは二次原因の可能性があります。

②二次原因を洗い出す

一次原因を問題と見立てて、一次原因を引き起こしている直接の原因=二次原因を考え、一次原因の下に配置して線で結びます、一次原因の洗い出しと同様に文章にしてみて確認しましょう。

③三次原因の洗い出し

同様に、二次原因を問題と見立てて、二次原因を引き起こしている直接の原因=三次原因を考え、二次原因の下に配置して線で結びます、一次原因の洗い出しと同様に文章にしてみて確認しましょう。
原因が仕事の仕組みや制度に関する矛盾や不整合、過不足、欠陥などまで掘り下げられたら、そこで洗い出しを止めます。
そこまで掘り下げられていなければ、以下、四次原因、五次原因へと洗い出しを続けます。
洗い出された原因は、原因の因果関係整理シートなどを使って水平方向の掘り下げ等を行い、対策対象とする重要要因を明確にします。

根本原因分析の急所

原因分析では、「なぜなぜを繰り返せ」などと言われ、階層的に垂直方向に掘り下げる方法は、まさになぜなぜを繰り返す方法です。
しかし、なぜなぜは多ければいいというものではありません。
通常、3から5回(三次から五次)くらいで、真因にたどり着くと言われています。
5回以上の掘り下げは、人の人格否定や社会・組織の否定にたどり着いてしまい、対策できない原因となってしまいます。
原因は、仕事の仕組みや制度の矛盾や不整合、過不足、欠陥までの掘り下げとしましょう。
 

因果関係から原因を掘り下げるRCAに役立つ手法・ツール

原因の因果関係整理シート(連関図法)

原因は、相互に関係していることがほとんどです。
1つの原因が複数の原因を引き起こしている場合もあれば、逆に1の原因は複数の原因によって引き起こされている場合もあります。
原因分析では、これら原因間の因果関係を見ていくことで大元の真因と言われる原因を突き止めることができます。
原因の因果関係整理シートは、原因間の因果関係を見える化して、関係の大小から重要要因を突き止めるためのツールです。

因果関係整理シートの事例


手法・ツールの特徴

原因の因果関係を整理して洗い出すことによって
・絡み合った原因の関係を紐解くことができます。
・原因相互の関連性の大小を知ることができます。
・真因を客観的に特定することができます。

手法・ツールの使い方と事例

①問題に対する原因を階層的に洗い出す

問題に対する一次原因、二次原因、三次原因というように階層的に垂直方向に問題を掘り下げて洗い出します。
原因系統洗い出しシート(ロジックツリーシート)を使うといいでしょう。

②階層的に洗い出した原因を問題の周りに配置する

洗い出した一次原因、二次原因、三次原因を問題の周りに配置して、つながりを矢印で結びます。矢印の矢は上位に向けて書きます。

③原因間の因果関係を明らかにする

配置した原因全体をみて、矢印でつながっている原因以外に、その原因を引き起こしている他の原因がないか見ていきます。
引き起こしている原因があれば、矢印で結びます。矢印は階層的に洗い出した原因の矢印と区別できるように色や線種を変えます。

④重要要因を選定する

問題を引き起こしている真因=重要要因を選定します。
重要要因とは、問題を引き起こす根本的原因で、最も影響が強い原因のことを指します。
ここでは、矢印の多さで判定をします。自身から矢印が最も多く出ている原因が広範囲に影響を及ぼす根本的な原因と考えます。
重要要因は、二重線で囲み、他の原因と区別できるようにし、問題を引き起こすロジックを文章にして表します。
問題を引き起こすロジックは、原因の矢印をたどっていく流れがロジックそのものと言えます。

⑤システム的な重要要因を選定する

重要要因には、システムにまつわる複数の原因から成るものもあります。
特定の業務システムや制度に関して原因が多く洗い出された場合、そのシステムに根本的問題があると考えられます。
それら原因を点線で囲み、まとめて一つの重要要因として選定します。問題を引き起こすロジックを文章にして表します。

根本原因分析の急所

原因間の因果関係は、些細なことまで考えれば、すべての原因は何らかのつながりがあることになってしまいます。
因果関係を考えるときは、直接的に相手に明確な影響を与えているか否かという視点で見て判断するようにしましょう。
 

相関関係から原因を掘り下げるRCAに役立つ手法・ツール

重要要因の問題との相関評価散布図

問題の真因である重要要因を様々な手法を使って洗い出し、選定してきましたが、本当に真因であるか否かは、実際のデータで裏付けがない限り確証はありません。
重要要因の問題との相関評価散布図は、選定された重要要因が問題を引き起こす真因であるかデータの相関性を見て評価するためのツールです。
相関とは、重要要因と問題との間に比例または反比例の関係があるか見ることで、重要要因の状況が強く出ているとき、問題は出ていて、反対に弱いときは、問題の出現は少ないという関係にあるか見ることです。

散布図の事例


手法・ツールの特徴

問題と重要要因の相関をみることによって
・重要要因が真因であることの確証を得ることができます。
・相関関係の状況から重要要因のさらなる掘り下げができます。
・相関の強さから対策の効果を見ることができます。

手法・ツールの使い方と事例

①重要要因と問題の出現を表す指標を決める

重要要因の状況が表れているか否かを示す指標、問題が発生しているか否かを示す指標を決めます。
状況を示す直接の指標がない場合やあってもデータ取得が困難な場合は、代用の指標を検討します。

②重要要因の表れている状況のデータを集める

決定した指標に基づいて、重要要因の状況が強く表れている状況、あまり表れていない状況、問題の発生している状況、発生していない状況のデータを集めます。
過去のデータの中に含まれている場合は、そのデータを抽出します。
過去のデータに含まれていない場合は、実験やシミュレーションなどを行い、データを取得します。

③散布図にして相関を見えるようにする

集めたデータを使い、横軸に重要要因の指標、縦軸に問題発生の指標をとった散布図を作成します。
相関を見るときは、横軸が原因系、縦軸が結果系で表します。
人は、横方向には推移や変化を感じ、縦方向に大小、高低など感じるとされることから、このような配置としています。

④相関を読み取り評価する

散布図のデータのプロット状況から相関性を読み取ります。
法則なくバラバラに散らばってプロットされている場合は、相関はありません。
まとまって傾いた直線上に並んでいる場合は、相関があると言えます。
広がって直線上の帯の中に分布している場合は、ある程度相関があると見ます。
直線または帯に傾きがない場合は、相関はありません。
関係性によっては、直線ではなく曲線だったり、片側から一点に集約するような並び方をする場合もありますが、いずれも相関があると言えます。
読み取った相関性から重要要因と問題の間にある相関関係と関係が成り立つ条件や状況を整理して文章にしてまとめます。

根本原因分析の急所

散布図にプロットされたデータのバラツキや並びの法則から、重要要因と問題の関係性をイメージして、読み取ることがポイントです。
傾きの角度から影響の強さを読み取り、プロットのバラツキ度合いから関係性の強さを読み取りましょう。
また、並びの形(直線、曲線、片側集約)から、関係の中に潜む法則や条件などを読み取ります。
より正確に関係性を評価したい場合は、回帰分析手法を使って数学的に関係性を分析することもできます。
 

統計的相関関係から原因を掘り下げるRCAに役立つ手法・ツール

要因と結果の相関性をみる回帰分析

要因と結果の相関性をみる回帰分析は、要因(原因)と結果(目標)との相関性(比例または反比例の関係性)を数学的に分析し、予測するためのツールです。
要因と結果が1つずつのものを単回帰、複数の要因と1つ結果のものを重回帰と呼びます。
計算方法は難しく、専門的に読み解くには、相応の理解力が必要となります。
しかし、EXCELに分析ツールとして用意されていますので、計算方法を知らなくても簡単に使えるツールで、基本部分だけであれば、専門知識がなくても十分に役立つ情報を提供してくれます。

回帰分析の事例


手法・ツールの特徴

要因と結果の相関性を数学的分析することによって
・要因と結果の相関性を客観的に評価できます。
・要因と結果の関係式を得ることができます。
・複数の要因と結果の関係性も明確になります。

手法・ツールの使い方と事例

EXCELの回帰分析ツールを使った場合の手順を説明します。

①データ表を作成する

要因と結果のデータを集めて並べて一覧にしたデータ表を作成します。
データ数(サンプル数)は、要因の数×10以上は必要となります。
事例の場合は、要因が1つですから10以上必要で、15ありますから問題ありません。

②分析ツールで計算

EXCELの分析ツールの中にある回帰分析を立ち上げます。
通常は、メニューの中に表示されていませんので、表示されていない場合は、オプションから読み込む必要があります。
回帰分析のウィンドが立ち上がったら、Xのデータ欄に要因データの範囲を選択して読み込ませます。
Yのデータ欄には、結果データの範囲を選択して読み込ませます。
要因が複数ある場合は、Xのデータ欄にまとめて読み込ませることができます。
その場合、複数の要因データは並んでいなければなりません。

③回帰統計を読む

データを読み込んで、「OK」ボタンを押すと回帰統計が出力されます。
この回帰統計の「重決定R2」と「t」に着目します。
ここでは、統計的な専門的な読み取り方ではなく、簡易的な見方を紹介します。
「重決定R2」は、複数の要因すべてのまとまりと結果との間に相関があるかを見ることができます。
1が最大値で、大きいほど要因(複数の要因すべて含めて)と結果の間の相関性は高いことになり、概ね0.8以上あれば、相関がある判断できます。
0.6以上ある場合は、相関関係がある可能性が高いと思われます。
もしかしたら、別の要因によって、データがばらついて相関関係が低く表れている可能性があるので、他の要因の影響を検討しましょう。
「t」は、個々の要因それぞれが結果との間に相関があるかを見ることができます。
絶対値として2以上(-2以下または2以上)あれば相関があると言えます。
2以下の要因は、結果に対する相関がないので、要因対象のデータから外して、再計算しましょう。
回帰分析は、これ以外にも様々なことを教えてくれる値がありますが、ここでは割愛させていただきます。

④関係式を知る

分析ツールからは、要因と結果の予測関係式を得るための値も出力されます。
予測関係式は、y=a1x1+a2x2+・・+bで表されます。
x1、x2は、要因1,要因2で、a1は要因1の係数、a2は要因に2の係数となります。
bは切片です。分析ツールから出力された表には、要因それぞれの係数と切片が記載されていますから、それを使って予測関係式をつくることかできます。
予測関係式は、要因がいくつのとき、結果はいくらになるということを予測するのに使うことができます。

⑤相関を表す散布図を作成する

散布図を使って、要因と結果の関係がイメージできる散布図を作成します。
EXCELの回帰分析では、分析時のオプション選択で「観測値グラフの作成」にチェックを入れておけば、散布図を自動で作成してくれます。
散布図の中に予測関係式の直線を図示すると関係性の強さが明確になります。

根本原因分析の急所

分析ツールを使った回帰分析は、様々な値が出力され、それだけで躊躇したり、読み取り方法に自信が持てず敬遠しがちになりますが、便利なツールであることは間違いありませんので、積極的に使ってみましょう。
ここで紹介した簡易的な読み取りだけでも自分たちの問題解決のレベルアップにつながりますので、まずは使ってみてください。


原因分析の動画学習>7日間無料
QC手法の動画学習イメージ

動画で学ぶ
原因分析の仕方とツールの使い方

原因分析手法とツールの使い方・コツを解説
事例で原因分析手法の使い方を説明
ガイド・テンプレートもダウンロード可
300以上の学習動画が定額見放題
もっと見る


【この記事を書いた人:

関連記事

MTOアプリ&コンサル

Udmey公開:クーポン配付中

定額動画学習

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

42人の購読者に加わりましょう

最近の記事

ページ上部へ戻る