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7.272018
事務ミス・作業ミスの傾向と対策~ケアレスミス発生率を下げ流出させないしかけと改善事例
仕事のミスをなくすための対策の重要性と見える化改善の進め方
ミスするのは人間です。ヒューマンエラーやポカミスだからと、人に対策を求めるのではなく、環境やしくみ、方法の改善によって、人のミスの発生率を下げ、流出を止める取り組みが重要です。
人がミスをしてしまう環境や状況をつくらないように、人の気持ちを高めて集中力を維持できるようにする対策をしていきましょう。
万人に共通の改善策はありません。そこにいる人たちに合った改善策を考える、まさに臨床改善をしていくことがミスの発生率を下げ、流出対策につながります。
それでは、ミスの特性と影響、ミス防止対策のための見える化改善のポイントについてご紹介しましょう。
<目次>
1回のミスが大きな被害を生む時代
・ミスは気がつかない
・ミスは職場を崩壊させる
・思い込みミスは止められない
・人の行動特性に合ったミス対策しよう
ミス防止に対する姿勢
・ミスやエラーは無くすことができますか?
・ミスを前提条件として品質・コスト・納期改善を目的にする
「見える化」でミスやエラーを防止する対策方法
・ミスをなくすために見えるようにするモノ
・異常の見える化でミス対策
・見える化で行動を開始させ習慣化させてミス防止
ポカミスやうっかりエラーを防ぐ具体的な対策・事例
・人のマインド・集中力とミス防止風土を高める改善
・ミスの起きにくい仕事環境をつくる改善
・ミス防止対策を前提とした仕事の計画・段取り改善
・ミスの検出力を高めてミスの被害拡大防止力を高める改善
・ミスの起きやすい変更・変化時の管理力を高める改善
ミスをなくす方法とアイディア
1回のミスが大きな被害を生む時代
ミスは、古来、人が関わるあらゆることに必ず付きまとってきた問題でした。しかし、昨今、それが今まで以上に注目されるのは、ミスの影響が今までになく大きくなってきたからではないでしょうか。情報システムやネットワークの発達によって、仕事は様変わりしてきました。パソコン画面から何でも簡単にできてしまいます。しかし、それはクリック1つで大きな問題に直結する環境になったということでもあります。「61万円1株売り」と「1円61万株売り」の金額と数量の入力ミスで瞬時に400億円の損失になったというニュースは皆さんもご存じのことと思います。
昔は、「ミスが多いから困る」という話でしたが、今は、「1回のミスでとんでもないことになるから怖い」という話をされる方が多くなってきました。今までのようにミスを「しょうがないな」と片付けられる時代ではなくなり、ミスをなくすことが企業や組織の存亡に関わることと言っても過言ではない時代になったのではないでしょうか。
ミスは気がつかない
ミスやエラーは、それに気がつかないことによる影響も大きいものになります。
ミスが発生しても、作業者本人は、それに気づかず、仕事を続けていきます。
ミスをした仕事の製品やサービスは、次のプロセスへと渡され、最後に検査や確認プロセスで、そのミスによる不具合が発見されます。
ミスによる不具合が発見されたとき、ミスの発生プロセスから発見プロセスの間のモノがすべてムダになります。
また、その間のプロセスの作業とその作業時間がムダになります。
ミスによる不具合が発見されたとき、ミスを起こしたプロセスの作業は、すでに終わっています。
なぜミスが発生したのか、原因を究明しようとしても、状態は再現できませんし、作業者の記憶も曖昧でわかりません。
ミスやエラーの原因究明はどうしても推測の上での分析になってしまいます。
ミスやエラーは、その発生と発見の時間差が被害を拡大し、原因究明も困難にします。
ミスは職場を崩壊させる
ミスやエラーは職場を崩壊する怖さもあります。
職場で、繰り返しミスが発生していると、人の心はすさんできます。
ミスを起こした人を見下し、差別する風潮が生まれてきます。
難しい仕事の失敗と違い、普通は失敗しないことを失敗してしまうことで、ミスを起こした人の能力を低いと評価されてしまうモノです。
そして、ミスをすれば、短期間で修正や、やり直しをしなければならず、ミスをしていない人も駆り出されて処置を強いられます。
また、そのミスから職場の評価を下げることにもなります。誰かのミスによって、自分たちにも被害が被ることに対する被害者感情が芽生えてきます。
このような、差別意識や被害者感情から、職場では助け合う風土が消えて、自分の仕事は、自分の責任で処置し、「周りを巻き込むな」という利己主義的な組織風土となっていき、職場が組織として機能しなくなっていきます。
思い込みミスは止められない
ミスやエラーの怖さは、影響や被害だけの問題ではありません。
人は、あり得ない、想像もつかないミスやエラーを引き起こすということです。
これは、弊社スタッフの実際に経験した話です。
スーパーマーケットに買い物に行きました。
2000円の商品を買い物かごに入れ、レジに行って支払いをします。
1万円を支払い、おつりをもらいます。
もらった、おつりは、8万円でした。
レジ係の人は、1万円札を千円札と思い込んでしまったのです。
レジ係の人は、おつりを渡すとき、何度も何度も入念に1万円札が8枚あることを数えていました。
しっかりと見て、数えていますが、1万円札であることには気づいていません。
人は、思い込んでしまうと、見ていても見えていないのです。
人は、あり得ない、創造もつかないミスをします。
ミス、エラーの怖さは、このあり得ないことをしてしまう人の怖さにあります。
人の行動特性に合ったミス対策しよう
人それぞれ、様々な個性があり、癖があります。これらを行動特性と言い、仕事におけるミスもこの行動特性によってミスの仕方に傾向や特徴があります。
しかし、この行動特性は、簡単には変えられません。
万人に共通の改善策はありません。
そこにいる人たちに合った改善策を考える、まさに臨床改善をしていくことが仕事のミスの発生率を下げ、流出防止につながります。
人の行動特性タイプ別のミスの傾向と対策として、どのような人にどのような施策が有効であるか整理して対策を行いましょう。
改善策の詳細は、こちらをご覧ください。↓
ミス防止に対する姿勢
ミス防止に対する姿勢について考えてみましょう。
ミスやエラーは無くすことができますか?
ヒューマンエラーについての確率について、あるデータがあります。
人は、適度な緊張感をもって仕事をしていても、1000回に3回、必ずミスをするというものです。
ミスを発生する確率が1000分の3、そのミスに気がつかず、流出させてしまう見落としのミスが、1000分の3あり、
これを掛け合わせると100万分の9となります。
この100万分の9がヒューマンエラーの限界と考えられます。
ヒューマンエラーによるトラブルの確率を100万分の9以下にすることは極めて困難なことです。
実際、大量生産のメーカーの品質管理では、10PPMが品質管理の限界と言われています。
10PPMとは、100万分の10のことです。
不良品の発生率を10PPMにすることは大変難しいことです。
人がいる限り、ミスやエラーをゼロにすることはできません。
しかし、多くの会社は、100万分の9の限界までになっていません。
パーセントの領域の発生率となっていて、まだまだ改善する余地があります。
いかに発生確率を抑えるかという地道な取り組みが重要です。
そして、ミスやエラーを個人に押しつけず、組織として、改善に取り組むことをしなければなりません。
ミスを前提条件として品質・コスト・納期改善を目的にする
いろいろな人にお話を伺うと「ミス」そのものを改善の目的としている人が圧倒的に多いようです。そこに落とし穴があるように思います。ミスを目の敵にしてなくそうとすると、中世の魔女狩りのようになってしまう怖さがあります。まだまだミスは個人の資質の問題であると考える人が少なくない中で、ミスに的を絞ると犯人捜しが始まってしまいます。
ミスの発生を前提条件として、ミスの発生率を高める環境やしくみ、方法を改善対象とし、品質・コスト・納期の向上を目的として取り組むように考えてみましょう。ミスを完全になくすことはできません。ミスをなくせなくせと言われ続けると息が詰まってしまいます。品質・コスト・納期といった経営的視点でミスによる影響を評価し、影響の大きいミスに的を絞って発生率を下げ、流出を防止するしくみづくりを行いましょう。ミス防止改善というだけでは、どこまで投資すべきか判断をつけかねますが、経営面での効果が評価できれば、投資対効果の判断がつけられます。ミス防止改善は、品質・コスト・納期改善であるという姿勢で取り組むようにしましょう。
「見える化」でミスやエラーを防止する方法
では、見える化によって、この仕事のミスやエラーをどのように減らしていくのか紹介しましょう。
その前に、見える化について、簡単に説明しておきます。
見える化とは、見えないモノを見えるようにすることです。ミスやエラーは、それが見えないことで、止めることができず、被害を拡大させます。
まず最初に、見えないミスやエラーを見えるようにしなければなりません。
そして、見える化は、ただの引き金に過ぎません。見える化をしただけでは、何も良くなりません。
見える化の目的は、見えないモノを見えるようにして、そこから、人に行動を開始させ、その行動によって、何かを良い方向に変えることです。
ミスをなくすために見えるようにするモノ
では、ミスやエラーを減らすためには、何を見えるようにすればいいでしょうか?
発注処理の仕事をしている職場でのミスの事例で考えてみましょう。
この職場では、受付箱の依頼書をパソコンを使って発注処理しています。
本日の発注処理は、6件です。
発注処理をしている途中で管理者が来て、今日の発注処理を4件に変更する指示がありました。
変更指示を受けてから、続きの処理をし、完了したので、担当者は帰宅しました。
しかし、実際は、3件しか処理をしていませんでした。
1件発注忘れのミスをしていたのです。
この発注忘れというミスが誰にも見えていません。
では、このミスが見えてくるようにするには、何が見えていれば良かったのでしょうか?
このミスを発生する原因となったのは、発注処理数の変更指示です。
発生原因となった、処理数の変更という異常が見える化されて、そこから適切な行動がされれば、このミスは防ぐことができました。
処理数の変更がされたとき、依頼書をその分減らし、変更指示の段階で、担当者に残りの処理数を認識させておけば、このミスは防ぐことができました。
このミスを見落としてしまった流出の原因が、机の上に残された依頼書です。
未処理の依頼書を机の上に残したまま帰宅してもよいとされているルールや風潮が、このミスを見落とすことになりました。
帰宅時に、依頼書を正しく処理するようにしていれば、残数の違いから、ミスに気づくことができました。
ミスやエラーを減らすには、ミスの発生原因であるいつもと違う異常な事柄や、正しく完了したか判断することのできていない流失異常を見えるようにすることです。
異常の見える化でミス対策
では、異常とは何でしょう。
異常とは、正常ではない状態のことを言います。
正常とは、全ての事柄が予定していたように行われ、予定していたとおりの結果が得られる状態のことです。
つまり、異常とは、正しく仕事ができている、いつもとは違う状態のことです。
見える化による改善は、いつも違うことに目を向けて、異常を見える化し、先手を打った管理をできるようにすることです。
見える化で行動を開始させ習慣化させてミス防止
では、見える化によるミスやエラーを防止するにはどのように進めていけば良いでしょうか?
ミスやエラーを防止するための見える化改善は、
まず、原因となる異常に対する行動の優先度を高めることが重要です。
ミスの予兆や原因となる異常を見える化してつぶしてしまえば、ミスを防ぐことができます。
異常をみんなの目に留まるようにして、いつもと違うことが起きていることを見える化して、処置の行動を開始させるようにします。
人は、被害が出ないと行動しようとしません。被害が出る前に、未然に防ぐには、異常に対して、行動を開始させることが重要です。
そして、良い行動を行うことを目的化させてしまいます。
ミスやエラーを防止するための良い行動を習慣化させるために、良い行動ができているか否かを見えるようにして、できていなければ行動を再開させるようにします。
ミス防止は、確率との戦いであり、発生しない状態が当たり前です。良い行動をしていても、何も手応えがありません。
手応えがないとついつい止めてしまいます。
続けるために良い行動を習慣化しましょう。
ポカミスやうっかりエラーを防ぐ具体的な対策・事例
ミスやエラーを減らすためには、ミスやエラーの発生理由を知らなければなりません。
発生理由がわからなければ、対策もできません。
ミスの発生理由を考えてみましょう。
人は、どうしても気持ちに左右されるものです。沈んだ気持ち、逸る気持ちが、普段ではあり得ない行動を引き起こしてしまうことがあります。
煩雑な環境では、混乱して間違えたりします。
やり方が明確でなければ、戸惑って間違えてしまいます。
目的が曖昧であると、何が正しいのか、適切なのかわからず、過不足となります。
先入観や前例からの思い込みは、今までとの違い、変化を見落としてしまいます。
以下、この理由毎に、ミスやエラーの防止の見える化による対策を説明していきます。
人のマインド・集中力とミス防止風土を高める改善
気持ちの大きな浮き沈みに左右されて、集中して考えられずにミスをする。
集中できず、同時に複数の事柄の関係を整理して鳥瞰して見ることができず見落としたり、間違えたりする。
冷静さに欠けて、標準的、平均的基準で物事を評価できず、適切な判断ができずに間違った判断をするなど、人は気持ちの影響を受け手ミスをします。
仕事に好き嫌い、感情や気持ちを持ち込むなと言われますが、気持ちは自分ではどうしようもなく、そういうわけはいかないものです。
特に、仕事による気持ちの浮き沈みは、個人だけではどうにもなりません。
上司や同僚とともに、お互いの気持ちを見えるようにして、チームとして助け合う風土づくりに向けた改善をしていきましょう。
改善策の詳細は、こちらをご覧ください。↓
ミスの起きにくい仕事環境をつくる改善
煩雑な環境によって、様々な事を見えにくくし、わかりにくくし、モノや情報が煩雑になることで、頭の中も混乱して、勘違いや思い込みを引き起こして、ミスやエラーを招きます。
散らかったところでは、何が正しいのか、正しくないのか、完了したのか、途中なのか、いろいろな境界がはっきりせず、ミスしていることにも気づきません。
整理されていない状態では、常にいろいろなことを記憶し続けながら仕事をしなければならず、疲れてしまいます。疲れからミスを引き起こします。
煩雑な環境を無くして、正常、異常、完了、途中などがひと目でわかり、いちいち記憶しなくてもすぐわかるようにします。安心して忘れられる管理をめざします。
改善策の詳細は、こちらをご覧ください。↓
ミス防止対策を前提とした仕事の計画・段取り改善
やり方が明確でないと、正しいやり方や正しいアウトプットがわからないことから正しくないことに気がつかずミスを引き起こします。
特に、正しいアウトプットがわからなければ、正しいことが確認できません。
また、人によって、環境などによって、毎回やり方が違っていると、いつもと違うこととミスの区別がつきません。
やり方が明確でないことは、戸惑いや我流を引き起こし、ミスを誘発することにもなります。
正しい仕事のやり方がわからないということは、自分がミスをしているかどうかもわからないということになります。正しい仕事の定義が、ミスを定義することです。
何がミスであるかわかれば、ミスを認識することができるようになります。
どのようなやり方で行う仕事が正しいのか、きっちりと定義します。
改善策の詳細は、こちらをご覧ください。↓
ミスの検出力を高めてミスの被害拡大防止力を高める改善
適正がわからないと、そもそも、どの程度までやったらいいのかわからず、やり過ぎ、不足がわかりません。
担当者の主観や思いによって、仕事の適正が判断されてしまい、ミスやエラーも担当の判断に左右され、顕在化できません。
仕事の適正がわからず担当者任せであることが、仕事の過不足とミスを区別できず、ミスの検出ができません。
ミスの検出力を高めるためには、仕事の中に潜むミスを気づかせるしかけづくりが不可欠です。
改善策の詳細は、こちらをご覧ください。↓
ミスの起きやすい変更・変化時の管理力を高める改善
変化に気がついていない人は、間違って変化や変更前のやり方で仕事をするミスをします。
仕事の環境や手順が変わることがあるという前提で仕事をしていない人は、慣れた仕事に注意を払わず、いつもと同じ思い込み、決めつけて変化に気がつかず、ミスをしてしまいます。
ミスは、製品やサービスの仕様、条件などが変化したとき、その発生確率は飛躍的に高くなります。
いつもと違う時こそ管理すべき時であり、仕事の変化を見える化して管理することが大切です。
改善策の詳細は、こちらをご覧ください。↓
ミスをなくす方法とアイディア
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