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仕事の見える化:かんばん方式のタスク管理とは~テキストとツール・事例について

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仕事を見えるようにし、チーム力を高めるトヨタのかんばん方式のタスク管理の基礎と取り組み手順

かんばん方式のタスク管理は、仕事の見える化の原則に基づいて、チームとして共有し管理しなければならない仕事をタスクカードで明らかにし、管理する手法です。
その管理方法は、トヨタのかんばん方式の管理原則を活用しています。
チーム力を高めるためのかんばん方式のタスク管理について以下の項目について説明します。

1.タスク管理とは
2.かんばん方式のタスク管理とは
3.チームのタスク管理の課題
4.タスク管理の構成
5.タスクとは
6.タスクのプランニング
7.タスクのスケジューリング
8.タスクの進捗管理
9.タスク処理の学習
10.タスク処理の標準化

タスク管理とは

タスク管理とは、一言で言うと「仕事の投入と進捗の管理」です。
個人のタスク管理は、個人=自分への仕事の投入と進捗管理となり、スケジュール管理と進捗管理が中心となります。(独立した個人の場合)
チームのタスク管理は、チームメンバー及び関係者(次工程や取引先)への仕事の投入と進捗管理となり、仕事のプランニング、割り当て管理、スケジュール管理、進捗管理、異常処置管理など多岐にわたる管理が必要となります。

かんばん方式のタスク管理とは

かんばん方式の原理原則(見える化、一個流し、一列待ち、平準化、PULL方式、変化点管理など原理原則)をタスク管理に取り入れたものをかんばん方式のタスク管理と言います。タスクを商品陳列台=ストアに並べて管理することから、ストア管理とも呼んでいます。(トヨタのかんばん方式でも部品を並べて置く棚をストアと呼んでいます。)

チームのタスク管理の課題

チームおいてタスク管理が必要となる仕事は、企画・開発業務、イベント型業務、プロジェクト型業務など、非定型・非定期の業務が中心となります。案件毎に仕事の内容やボリューム、時期が異なるような仕事で、案件毎に仕事=タスクの計画・管理をしなければならないものです。
このような仕事では、次のような課題を抱えていることが多くあり、タスク管理は、この課題を解決することが期待されます。

①慢性的遅れ(90%シンドローム)

仕事が常に遅れている状態にあり、なかなか完了しないというものです。別名90%シンドロームとも言われ、90%までは計画通り進んできているのに残り10%が完了しないというものです。慢性的遅れの犯人の多くは、異常、想定外、トラブルというもので、仕事の計画精度のまずさ、進捗管理の弱さに起因する問題です。

②非正味業務(管理・コミュニケーション)割合が高い=生産性が低い

企画・開発業務、イベント型業務、プロジェクト型業務の仕事を分析すると3割~6割が会議やメール連絡などの「コミュニケーション」と計画・調整などの「管理」といった非正味業務に費やされています。つまり、労働時間の内、本来の仕事=正味業務に充てている時間が極端に少ないのです。当然、生産性は低いものとなります。

③生産性が見えない=効果が見えない=的を射た改善ができない・しない

案件毎に仕事の内容やボリューム、時期が異なる仕事は、前回の仕事や他チームの仕事と品質や時間・コストを比較することできません。生産のように何個・何件つくったというようなアウトプットのボリューム測定もできません。つまり、自分たちの仕事の生産性が見えない状態となっているのです。生産性が見えないということは、何か手を打っても効果が見えないということで、仕事のやり方を見直したり、改善したりしても、何が的を射た対策で、何が外れの対策かわからないのです。的を射ているかわからなければ、改善しようという気持ちにはならず、改善しなくなってしまいます。

④低い標準化率=仕事の属人化=低いチーム力

案件毎に仕事の内容が異なる=標準化できない。と思っている人は少なくありません。ですから、標準化が進みません。標準化が進まないと、その都度、自分の経験に基づいて、一番いいやり方でやろうとします。我流化が進むのです。我流が進むと仕事が属人化して、その人しかできない状態となり、個人中心で仕事を進めざる得なくなり、チームとして、助け合ったり、連携することができなくなります。チーム力が低下するのです。

タスク管理の構成

チームのタスク管理は、タスクのプランニング、タスクのスケジューリング、タスクの進捗管理から構成され、かんばん方式のタスク管理では、これらにタスク処理の学習、タスク処理の標準化が加えられた構成となります。

タスクとは

タスクとは、課された仕事、やらなければならない事です。
タスクには、親子関係があります。あるタスクを行うために、必然的にやらなければならないタスクがあり、これらタスク間が親子関係となるのです。
例えば、荷物を送り届けるためには、荷物のパッキング、輸送業者の手配が必要となります。荷物を送り届けるという親タスクに対して、荷物のパッキングと輸送業者の手配が子タスクとなります。
親子は階層的に連なっていて、子タスクの下に孫タスク、ひ孫タスクがあります。

タスクのプランニング

タスクのプランニングとは、やるべきタスクを洗い出すということです。
親タスクは、顧客からの注文、経営者からの指示など、明確になっています。
ですから、タスクのプランニングは、子タスクを洗い出すことにあります。
タスク管理において混乱を引き起こす最大の犯人は、「実行段階に突然現れる子タスク」です。予定されていなかった子タスクが納期遅延、トラブル、生産性低下を引き起こすのです。
タスクのプランニングでは、「実行段階に突然現れる子タスク」を無くす・減らすことが目的です。想定外をなくして、計画通りに仕事が進むようにすることです。
子タスクの洗い出し精度を高めるために、プランニングでは様々な手法が使われます。

WBS(Work Breakdown Structure)でプランニング

WBS(Work Breakdown Structure)は、仕事=タスクを分割させて、体系的に親子関係を整理していく手法です。親子関係は、樹木構造(ストラクチャー)でまとめていき、抜け落ちや順位間違いを見つけ出し、洗い出し精度を高めるのに役立ちます。
WBSは、論理的・体系的に洗い出すことによって、人の経験によって精度が左右されることが少なくなることをめざしていますが、それで、経験ある人がいないと精度が低下してしまいます。また、今まで、まったく経験がない仕事では、洗い出し精度はガタ落ちとなってしまいます。

リーン型・アジャイル型でプランニング

かんばん方式のタスク管理では、リーン型、アジャイル型と言われる一部の仕事=タスクを先行させて、最後までやってみた経験から残りのタスクを洗い出す方法でタスクのプランニングをします。後述のタスク処理の学習というものです。経験を積み上げながら、タスクを洗い出すので、未知なる仕事でも高い精度でタスクを洗い出すことができます。

タスクのスケジューリング

タスクのスケジューリングとは、タスクの順番と担当、納期を決めることです。
タスクには、直列関係と並列関係があります。直列関係は、先行するタスクが完了しないと次のタスクに着手できないという関係です。並列関係は、同時に着手できる関係を言います。
タスクのスケジューリングでは、直列関係を減らし、並列関係を増やすことで、スケジューリングの自由度が高まり、リードタイムも短くなって余裕ができるようになります。
担当の割り当てでは、タスクの処理能力=スキルを高める教育をできているか否かで重要となります。仕事が来てから慌てて教育しても間に合いません。スケジューリングでは、タスクだけでなく、仕事を見越した事前の教育のスケジューリングも行います。
タスクのスケジューリングの手法・ツールは、時間基点でのスケジューリング手法・ツールとタスク基点のスケジューリング手法・ツール、人基点のスケジューリング手法・ツールがあります。

a.チャート型スケジューリング・ツール

納期やリードタイムなどの時間に対して、タスクの順番や着手・完了日を設定していく手法です。
納期を中心としたツールはガントチャートと言われるもので、横軸日程をいれて、タスクの着手・完了を矢印などで表すものです。
リードタイムを中心としたツールは、PERT(Program Evaluation and Review Technique)、アローダイヤグラムと言われるもので、タスク間を矢印で結び処理時間と経路関係からクリティカルパス(ネックとなるタスクのつながり)を明らかにするものです。

b.ToDo型スケジューリング・ツール

タスクの着手タイミングを設定していく手法です。
着手しなければならないタスクを着手する順番に並べていくToDo管理が有名なツールです。ToDo管理は、人に対して着手タスクを割り当てる人別ToDo管理、日にちに対して着手タスクを割り当てる日別ToDo管理、プロセスや装置に対して着手タスクを割り当てるプロセス別ToDo管理、装置別ToDo管理、または、これらの組合せがあります。

c.人別ToDo型スケジューリング・ツール

人に対してタスクを割り当てていく方法です。ToDo型では、タスクに人を割り当てるのに対して、逆に人にタスクを割り当てるものです。人の能力が限られている場合、できる人が極端に少ない場合など使われます。タスクを可能な限り分解して、限られた人に負荷がおおきくかからないようにして、全体として協力できる仕事の配置を行うためのツールです。

d.かんばん方式のスケジューリング・ツール

かんばん方式のスケジューリングは、基本的にはToDo管理と同じスケジューリングとなりますが、一般的なToDo管理と異なるのは、再スケジューリングのしやすさを極限まで高めて、進捗管理と連動してスケジューリングできるようにしていることにあます。また、自律的に再スケジューリングできるように仕掛け化をしていて、管理者がいなくても、仕事の変更や飛び込みなどの再スケジューリングメンバーだけでできてしまうようにします。
仕事の見える化を取り入れたタスク管理ボード上にタスクカードを貼り付けてスケジューリングするもので、貼り付けた方を工夫することで、様々なスケジューリングを行うことができます。
ToDo型ストア

タスクの進捗管理

タスクの進捗管理とは、納期に対するタスクの完了管理をすることです。
結果の管理ではなく、過程の管理を重視します。また、納期という時間だけを管理するのではなく、仕事の完成度も管理しなければなりません。納期だけに着目して完成度を管理しないことが90%シンドロームを招きます。
過程の管理では、異常に着目すること、完成に対する度合い=完成度を数値化して管理するようにします。
進捗管理の手法は、スケジューリングの手法をそのまま利用することが多く見受けられ、時間に着目した進捗管理手法、タスクの完了に着目した進捗管理手法、人からアウトプットされたタスクに着目した進捗管理手法があります。

a.カレンダー型進捗管理ツール

着手や完了などの日時を追いかけて管理するツールで、代表的なものがカレンダー型ツールです。カレンダー上に着手や完了などのチェックポイントをおき、チェックポイントにおけるタスクの進捗を管理します。

b.ToDo型進捗管理ツール

スケジューリング・ツールのToDo管理ツールが代表的なものです。スケジューリングと同様に人別、日別、プロセス別などの形態があり、タスクの処理ステータス(着手前、着手中、完了)を明らかにして進捗を管理するものです。

c.人別進捗管理

人からアウトプットされたタスクを追いかけて進捗を管理するツールで、完了棚や完了カード入れなどを設置して、アウトプットされたタスクの積み上がり度合いで、仕事の遅れ進みを管理するものです。

d.かんばん方式の進捗管理

仕事の見える化を取り入れたタスク管理ボード上にタスクカードのステータスをボード上の貼り付ける位置で見える化して管理するツールです。
ステータスは、着手前、着手中、完了に加えて、中断、後戻り、追加・飛び込みなどの異常ステータスと、仕様や設計の変更、人の入れ替え、プロセスや手段の変更などの変化ステータスも見えるようにします。
これら異常系と変化系のステータスに対しては、異常管理ルール、変化点管理ルールを設けて処置・管理します。

タスク処理の学習

タスク処理の学習とは、先行するタスク処理の経験から次のタスク処理方法を改善することです。
かんばん方式のタスク管理の特徴的な構成の一つで、リーン型・アジャイル型のタスク管理を行う方法です。トヨタでは、リーン製品開発、源流管理、コンカレント・エンジニアリングと言われるもの中に組み込まれているものです。
タスク管理ボード上のタスクカードのステータスで、異常系(中断、後戻り、追加・飛び込みなど)と変化系(仕様や設計の変更、人の入れ替え、プロセスや手段の変更など)となったものに、改善カードを貼り付けて、異常・変化となった原因と改善を同時進行で行っていくこと管理するもので、タスク管理ボードと改善管理ボードを連結させたツールとなります。

タスク処理の標準化

タスク処理の標準化とは、実績あるタスク処理の手順や方法を標準化し、他の仕事に活かすことです。
タスクのスケジューリング、進捗管理、学習の経験を手順書として標準化し、共有します。
スケジューリングで立てたタスクの処理順番と進捗管理で修正した処理順番を元に標準手順を定めます。進捗管理とタスク処理の学習から得た異常・変化の事象とその対応策をノウハウとしてまとめます。
標準手順とノウハウを、プロセスマップという動的手順書ツールにまとめます。プロセスマップは、タスクカードとノウハウカードを付箋紙にして並べた手順書で、追加、貼り替え自由な手順書ツールです。
プロセスマップのタスクカードは、そのままで次の仕事のタスクカードとして使えるため、前回の経験・ノウハウが次の仕事でダイレクトに活かされるようになります。
プロセスマップ

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